RoHs指令の現場から(1)

出典: SGK_Wiki

RoHsの現場から(1)テイシン電機

テイシン電機㈱:埼玉県川口市
コネクタ,AV用ジャック,ケーブル類などを製造する電子部品メーカー

代表取締役 鈴木貞夫氏
部長 長島紘太郎氏
マネージャー 大山徍成氏
インタビュアー:編集者
(以下敬称略)

■:さっそくですが、御社では、RoHs指令をどのように捉えていますでしょうか。
鈴木:二つの側面から捉えております。一つは商業上の側面。もう一つは地球環境の側面です。
会社として、生きていくためには、取引先の求める品質を満たさないわけにはいきません。
そういった意味で、対応せざるをえない最低限の資格ともいえます。
また、地球環境という点では、企業が活動すれば、環境への負荷は避けられません。
これを少しでも減らしていかなければならないのは、企業としての義務です。
この意味でRoHs指令や、グリーン調達の理念はすばらしいと思いますし、
当社としても前向きに取り組んでいます。

■なるほど、では、RoHs指令への対応状況はいかがですか
長島:ほぼ100%完了しています。

■:RoHs指令への対応に取り組み始めたのはいつごろからでしょうか
長島:RoHs指令への対応は1年ちょっと前からだと記憶しています。

■:対応にはずいぶんと苦慮されたのではないですか
長島:楽ではありませんでした。しかし、それ以前に当社は、
2003年からソニーのソニーグリーンパートナーの認定をうけております。
そこで鍛えられた経験を、RoHs指令への対応に生かすことができました。
ですので、比較的スムーズに、早い段階から体制作りが完了できたとおもいます。
グリーンメイトの資格を取るためには、さまざまな禁止物質の基準など、
厳しい基準を満たさなければなりませんから、その時期にずいぶんと鍛えられました。
いきなりRoHs指令に対応しろと言われていたら何から初めたらよいのかわからなかったでしょうね。

■:なるほど、グリーンパートナーの認定がよい準備運動になったわけですね。
とはいえ、RoHs指令に対応するためには、それなりの困難があったと思いますが、いかがですか
大山:データの提出フォーマットの多さですね。それへの対応に苦慮しています。
JGPSSI(調達調査共通化協議会)規格化団体が出している推奨フォーマットはありますが、
各社とも独自に手を加えてあるので、納品先ごとにフォーマットがある状態で、
その事務処理に大変な労力をさかなければならない状態です。
うちのように、1000種類以上の小さな部品を製造しているメーカーにとっては、
部品ごとにRoHs指令への適合を示す書類を用意することだけでも負荷が高いのですが、
フォーマットが複数あるのでなおさらです。早くフォーマットが統一されるとありがたいですね。

■:RoHs指令への対応で、他にはどのような問題があったのでしょうか
長島:技術面では、半田、6価クロムなど、規制対象物質を用いていた製品を
代替物質を用いた製品にしなければならいことでしたね。代替物質で従来と同等の性能、
コストを実現することが苦労しました。
半田などは、鉛フリーのものに替えると、融点などが変わってしまうので、
かなりの数の代替製品試しました。
長島:また、RoHs指令の基準よりもメーカーが求める基準の方が厳しいことによるコスト増があります。
例えば、カドミウムなどは、RoHs指令の基準では、100ppm以下とされているのですが、
メーカーによっては、75ppm以下を求められる。
これを満足するためには、こちらとしては、65ppm以下の製品を納品しなければならない。
そうすると、製品の原材料に求めるレベルは50ppm以下のものを購入しなければうちとしては安心できません。
このレベルの原材料は材料メーカーに特注しなければならないこことが多く、
通常100Kg単位で購入できるものも、トン単位で購入しなければならないなど、経済的な負担が増します。
また、このような材料は、品質を保障するために、こちらで材料調達をして加工だけ他にお願いするような形にしているので、
その点でも負担が増しています。

■細心の注意をはらわなければならないわけですね
長島:もちろんです。例えば、納品された部品も、
使用した原材料のロットの違いによって禁止指定物質の濃度
が一定であるとは限りません。最終的には、こちらで検査し、
規定の濃度以下であることを確認してから出荷しています。
大山:事務的なところで、もう一つ付け加えると、
仕事をお願いしている取引先を説得するのにも苦労しました。
品質についての保証を付けてもらわなければいけない部分に関して、
最後は、取引先を訪ね歩いて直接事情を説明して回りました。

■:取引先の業界ごとに事情が違うので、大変な手間ではありませんでしたか
大山:はい、繊維関係などですと、RoHs指令と直接は関係していない分野ですので、説得に時間がかかりました。
例えば、ESDバンドという、静電気を逃がすために腕に巻くバンドがあるのですが、その素材には布が使われているので・・・。

■:さまざまな部分でコストが増加したのではないですか
大山:検査費用、人件費などがかなりかかります。
製品の原価にも影響がありますね。かといって製品の価格は上げられないので、
うちが負担している状態です。
鈴木:RoHs指令やグリーン調達の地球環境に対する理念は大変すばらしいと思います。
それに関してはうちとしても全面的に賛成です。
しかし、厳しすぎる基準が設けられているケースが見受けられます。
基準が厳しすぎると、下請け企業の体力を奪うことになります。
統一した基準と段階的な変化が必要ではないかと思います。

■:なるほど、では最後に、環境のお話がでましたが、御社の今後の環境問題への取り組みをお願いします
鈴木:はい。当社としては、来年度にISO14000シリーズ取得を目指して活動をしています。
企業としての活動には、環境への負荷が避けられない面があります。
これを少しでも減らしていくということは、企業として、人としての義務であると考えています。

産業廃棄物の山があちらこちらにできている今の世の中は、明らかに間違っていますよ。

■:本日はありがとうございました