磁石を組み込んだ機構
出典: SGK_Wiki
磁石を組み込んだ機構については折に触れ述べてきた.ここでは発想の転換から生まれた機構例を紹介する.
これら1ま、いずれもフレミングの右手の法則,すなわち導体がある速度で磁界中を過ぎって運動する際に
起電力を生じることをうまく利用している.ちなみに起電力は,
e=-B・l・v (1)
l:磁界中を過ぎる導体の長さ
v:導体の連度
B:磁束密窒
Bの値は,永久磁石やソレノイドではO.1T程度、電磁石では2T程度である図1は磁気作用で起電する
パルス電圧発生機構を示したものである.一般的なパルス電圧発生機構は上述の法則をそのまま適用する.
磁心に巻いた検出コイルに対し,外部磁石を相対的に移動させ.移動速度に比例した痘電力を得ている.
本機構では,図1(b)に示したような感磁要素の回りに検出コイルを巻いたものを電圧発生素子としている.
この素子は,円筒の内壁に,直列接続するようにして並べられている.一方,永久磁石は,
磁石支持部の回転軸回りに180□だけずらして,一対が取りつけられている.
この永久磁石は,N,S極が互いに逆になるように配慮されている.
これにより,一方の磁石により発生させた正電圧に対し,もう一方の磁石で1/2周期だけずれて負電圧を
発生させるので,出力される電圧はパルス状となる.
したがって,発生パルスの周波数は,回転輔の回転数によって制御されることになる.
つぎに,磁界中に一置かれた導線に電流を流した場含,導線に働く力を利用した機構を紹介する.
導線には図2に示したように,電流方向に対し直角方向に力が働く.

導線を円盤のようなものに変えれぱ,回転機能をもたせることができる.
ちなみに図3は振動モータに適用した機構で,きわめて小形化できることが特徴である.

導体であるロータに電流を流すと,電流は表'面に沿って流れる.一方,永久磁石による磁界が,このロータをよぎ
るように生じている.このため,図2からもうかがい知れるように,円盤周方向に沿っての力が発生する.
この力によって,円盤は回転運動を起こすことになる.
コイルを一切使用せず,薄板型の希土類永久磁石の使用で,装置全体を小形化できたのが特徴である.
振動は,ロータを扇状にし、偏心させれば,遠心力の影響によって起こすことができる.
図3(b)は,円筒型の機構である.永久磁石は,中央部に通した固定軸に固定されている.
この永久磁石により軸方向に沿う磁界が発生している.
一方,この永久磁石を取り巻くように,円筒状のコイルが配置されている.
このコイルに電流を流すと,電流は,磁界を過ぎるように流れることになるため,
コイルに力が発生し,回転することになる.
振動は,コイル部に偏心質量が付加してあり,これによって発生する.
さて,図3にて,ロータが高速回転している状態であれぱ,にブラシ部から電流が取り出せることがわかる.
発想を逆にすれぱ,ホモポーラ型発電機として機能させられる.図4はその例を示したものである.

ロータの形状によって,電極位置が異なるが,いずれも磁界の方向と回転方向とが直角になるように配慮している.
電極は,電流がロータ表面に沿って流れるよう,配置.に工夫をしている.
この場合の,発生電流など,原理的な事項についてはすでに述べたので',それを参、照していただきたい.
図5はポンプ機構に組み込んだ例である.磁石同士の吸引力を利用して動力伝達を図っている.

すなわち,一方の磁石をインペラの軸に,他方の磁石をモータ軸に取りつけた単純な機構となっている.
この機構では,この両磁石間をケーシングで隔絶,軸シールをなくしていることに特徴がある.
このポンブはコンピュータの冷却を主目的としている.
コンピュータ冷却の付帯設備では,冷却の高能力化,低振動化,ダストクリーン化が必要とされる.
本構造では,モータ軸とインペラ軸とが直接的に結含していないため,振動伝播が遮断され低振動化が図られること,
液体の漏れがないため,ダストの拡散がなくなることなど,上記事項を満足する.
図6は光ファイバの回転体への擦続機構である.

金属線での接続では,スリップリングが使用される.
光ファイバの場合には,回転一固定軸間できわめて厳格に光軸を合わせる必要がある.
これは,ファイバの支持機構の公差を厳格にすることによりほとんどが達成できるが,これに加え,
光学的配慮をした微調整も欠かせない.それには,結晶のファラディ効果を利用する.
ファラディ効果は,物質中を通過する光の偏光面が,光軸方向の磁界の強さに上ヒ例して回転する現象である.
一般にその回転角は,
θ=V・H・L (2)
V:ベルデ定数
H:磁界の強さ
L:作用長さ
ファイバを単につき合わせただけでは,つき合わせ面の相対的な状況によって透過性が悪い場合もある.
これに対し,磁界を加え,偏光角を適度にとることにより,透過性のもっともよい状態を設定できる.
最後に,このファラディ効果を熟考すれぱ,磁界と光との問を関係づける機構も考案される.
ちなみに,図7は電流測定機構に適用したものである.
偏光子によって直線偏光となった光は、ファラディ効果をもつ素子を通過する際に,光軸方向の磁界によって式(2)
で与えられる量だけ回転する.
つぎに,偏光子と45初相対位相角をもつ検光子により・磁界の強さに比例した光強度に変換される.
検光子の出力P。は,
Po=k(1+sin2θ)≒k(1+2θ)
ただし,2θ《1
である.よって,光出力P。は,回転角θに対して線形な関係となる.
ここで,回転角は,先にも述べたように,磁界の強さ,ひいては電線を流れる電流に比例する.
そのため,電流値の測定が可能となる.
