環境制御機構
出典: SGK_Wiki
環境破壊は人類の存亡に繋がるものとして強く認識されるようになってきた.
そして,さまざまな形で環境問題への取り組みが始まっている.
単に拾てるだけであった廃水の有効利用,再利用.
地球温暖化に関与する諸ガスの排出低減化,
年々増加する傾向にある汚泥の処理など数え上げれぱきりがない.
このような課一題に対処する技術の中から、広く汎用性のあるものをいくつか取り上げ,
参考に資するように計らった.
地球温暖化に関与するガスには,フロン(CFC),メタン(CH4),亜酸化窒素(N20),
二酸化炭素(C02)などが挙げられる.これらはモントリオールサミットで温室効果ガスとして認定され,
近未来中に削減を果たすべく含意されたものである.
なかでもC02は化石燃料を燃焼すれぱ必ず排出されるもので
(化石燃料は,エネルギー消費の82%を占める)低減化が緊要である.
ここで,C02の分離・回収技術には
a)分離・回収機構を組み込んだ場含でも,プラ
ント本体は,長期的かつ安全に稼働できることが
必要である.それには,個々のプラントごと,あるいは時間ごとに変動するガスの組成,圧力,温
度などに随時対応できる機構である必要がある.
b)'稼働に当たって,新たな環境間題を引き起こさないこと.
c)所望の分離・回収効率が得られること.
d)経済的にも採算が取れるこヒ.
などが必要となる.
そこで考えられるのが,図1:に示したような化学的な吸収処理法,
物理的な吸着処理法.膜分離処理法などである.
化学的な吸収法では,熱炭酸カリやアミン系の吸収液を用いて,
気液接角販応を吸収槽において行わせ,ガス中に含まれるC〇二を除去する.
C02を吸収した液は,再生榑で再圭された後,再ぴ吸収槽へ送られ,
再利F目される.このような機構は,潜水艇などにも採用されており,
具体白勺な機構については,生命維持機構ほかを参照してほしい.
物理的な吸着・法では,ゼオライトやモレキュラシーブのような固体の吸着剤を弔いて,
加圧による吸着と,真空による脱着を交互:こ,しかも連続的に行ってC02を選択的に分離・回収する.
膜分離法では,高分子重合膜を用いると,ガスが分離膜を透過する際の透過速度に差があること
を利用したもの.C02を選択的に分離・回収できる特徴がある.
図1は基本的な機構例を示したもので、まだ比較的小規模なものが対象である.

次に廃水処理について述べておく.廃水処理は,生物処理や凝集処理といった水そのものについて
の処理と,その結果生じる汚泥の処理との2段構えで行う必要がある.
この中でも問題となるのは,廃水量の増加に伴って必然的に増えてくる汚泥の
効率的な処理法である.埋め立て処分地の確保だけでは済まなくなり,
いかにして減容化するかが課題として浮上してきている.
従来は,図2に示した高分子脱水剤などが使用されてきた(分子量が5×106以上の水溶性カチオ
ン性高分子電解質).

汚泥粒子の荷電を表面的に中和し,凝集させ,
水分約98%の汚泥から容量を約1/20以下まで減容積できるという薬剤である.
しかし,凝集させるだけで,汚泥内部の水分を除去する能力はない.
ちなみに,汚泥は酸性の多糖類やタンパク質で覆われたもので,
徴生物が生産に関与している.その内部は,
多量の水を拘えた負の電荷を持つ親水コロイド状をなしている.
そのため,上記のように汚泥粒子の荷電を中和することが必要なわけである.
加えて,汚泥を効率よく処理するには,凝集した塊を極力大きくすることも課題である.
前者に関しては,カチオン基を持つ高分子電解質であれば粒子内部まで荷電を中和し,
粒子周囲の電気層を薄くすることができる.
これにより,水分除去が効果的に行える.しかし,後者に対しては,
汚泥に吸着した金属イオンとの反発が生じるため,その機能は低い.
そこで,凝集した塊をより大きくするために,汚泥に吸着した多価金属イオンと反応させる必要がある.
アニオン基をもつ電解質が必要となるわけである.一番よい脱水剤は,図3に示したようなカチオン基,
アニオン基の両極性をもつ電解質であるので,この開発が待たれる.

次に,汚泥の処理としては,汚泥をそのまま捨てるのではなく,
汚泥からエネルギー物質を回収することも考えられる.
すなわち,高温高圧下で汚泥中の有機物を油状物質に変換する,
いわゆる油化処理が考えられる.この方法には2通りが考えられ,
1つは,無酸素状態下で乾燥汚泥を300~500℃に加熱し,発生したガスを冷却して油状物質に変換する.
これは常圧下で行えるが,水分を蒸発させねぱならないという消費エネルギー上の課題を拘えている.
2つ目は,脱水汚泥を300℃,10MPa程度で反応させ油状物質を直接合成する法.
この方法では,飽和水蒸気圧以上にするという高圧操作が必要だが,
消費するエネルギー量からみると前者に比べ有利.図4は,この処理機構を示したもので,
圧入,反応,冷却,減圧工程からなっている.

機構的には難しくないので,今後の具体自勺な装置開発が待たれる.
最後に,水処理として純水の製造について述べておく.
純水は,水中のイオン類や微粒子などの不純物を分離・除去した水である.
このため,機構上の課題は脱イオン化が主となる.脱イオン化にはイオン交換法,
電気透析法,逆浸透法,蒸留法があるが,現在はイオン交換法が主流である.
これは,イオンの交換樹脂のH+およぴOH'イオンと水中のイオンとを交換することにより純水
を製造する法であるが,樹脂が機能を失った時点で再生処理を行わなくてはならない.
この再生処理のためには酸アルカリ薬晶を使用するため,その設備も欠かせない.
そこで,薬品を使用しなくでも処理できる機構が望まれている.
電気透析法がそれで,陽イオンは通すが陰イオンは通さないという陽イオン交換膜と,
陰イオンは通すが陽イオンは通さないという陰イオン交換膜を交互に複数枚重ね,
その両端部に電極を設け,直流電圧を印加する法.この手法では,
イオンが除去され純水に近づくにつれ,電気抵抗が大きくなるため,
イオン交換の効率が落ちる.そこで,これを避けるため,装置内に導電性物質を封入,
純水に近づいても導電性が低下しないようにすることが必要となる.
図5は,導電性のイオン交換樹脂を陽イオン交換膜と陰イオン交換膜の間に充填した機構.

これによって,水中のイオンはイオン交換樹脂を伝わって移動することができ、
高純度まで脱イオン化が可能となる.
