熟練者の技を模擬する機構
出典: SGK_Wiki
熟練者の技を模擬する機構
熱放散,騒音の大きい生産現場などでは,勤務希望者が減少し,今や人手不足の状態に陥っている.熟練技能者の技をロボットに代行させ,人手不足に対処しようという要望がますます高まっている.そこで,いかなる分野で,いかなるロボット方式を採用しているか概略を把握するだけでも,要望に合致した装置を設計,製作する上で大変に役立つ.![]()

図1は,ガラス製品を吹きガラス方式で製作する場合の溶融ガラスを取り出す種とり(ギャザリング)ロボット機構である.ギャザリングでは種とり棹の操作具合が,その後の製品の良否を決定するといわれる.従来から名人芸の領域に属するものといわれている.したがって,ロボット化はむずかしいとされてきた.本機構は,これに挑戦,種とり作業を,7軸の多関節型アームで実現した.
従来の6軸型多関節汎用ロボットにサーボモータを組み込み,棹を回転できるようにしたものである.仕様は,図中に示したとおりで,ティーチング機能により,7つの自由度を持つ人間の動作と同じパターンがプレイバックできる.ギャザリングロボットは西ドイツなどでも製造されているが,自由度が少なく,機能的には劣っている.
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図2は,高品質仕上げ塗装用ロボット機構で,メタリック塗装も可能である.従来のエアスプレー方式では,塗料の付着効率が20%程度と低い.静電気を印加(エア霧化静電方式)しても50%程度である.本機構は,液体塗料の圧送(エアレス)と吹き付け(エア)を組み合わせた霧化機構に,さらに静電気を印加したスプレー方式.まず,オリフィス型平吹きノズル(エアレス)から塗料全体を比較的高い加圧状態で扇形に噴霧する.ついで,その噴霧の先端部付近に比較的低圧の加圧空気(シェイビングエア)を供給して,噴霧の促進,ならびに飛散を抑止する.
この噴霧機構に,さらに高速遮断安全機構を具備した高電圧発生装置により静電気を発生,印加できるようにしている.これにより付着効率を80%以上にも向上させている.塗料ノズルの材質としては,ジルコニア,アルミナを主成分とするファインセラミックスを採用し,高対摩性を確保している.高速遮断機構は,火花発生を抑制するもので,2~3msの遮断性能を有する.
図3は,石材加工での自由曲面部の研磨用ロボットハンド機構.手での研磨は,研磨工具を手で押し付け,水を掛けながらの作業となる.その際,小形研磨工具を用いるため,仕上がった製品の表面が要求通りとなるのは稀で,試行錯誤を要する.加えて,作業環境も水の飛散が多く決して良好なものとはいえなかった.そこで,一定した優良な品質の製品が得られる専用研磨機あるいは研磨ロボットの製作が嘱望されていた.
従来,簡単な2次曲面に対応できる自動研磨機は市販されていたものの,複雑形状に対しては不可能であった.とりわけ,数値命令だけでは鏡面を得ることは難しかった.これを改善することが最大の課題となっていた.図示した機構は,従来の石材研磨用のロボットハンド先端に弾性体を装着,まず自在継手としての機能をもたせた.そして,これに研磨ツール取付け用ブラケット(エアツール支持用ブラケット)の回り止め案内機構を装着している.この案内に沿ってエアツール支持ブラケットは昇降でき,ばねによって保持される.
この案内機構により,先端部は任意な方向に回転でき,自由曲面の研磨に対処できるようになった.エアツール支持ブランケットにはエアツール本体およびバキューム用パッドが取り付けられている.このバキューム用パッドを介して砥石を吸着,研磨作業を行わせる.砥石は,吸着用プレートの裏面に貼られており,バキューム用パッドと直接接触しないため,離脱の恐れは少ない.研磨,研削用砥石をこのように吸着させて使用するため,自動交換も容易で,無人化が図られる上,自由曲面の鏡面研磨も容易となる.
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図4はんだ付けの自動化を目指した機構.電子機器類の製造において,はんだ付け作業は欠かせない.しかし,熟練者の確保は容易ならない事態にまで至っている.そこで,誤操作の防止を図り,しかもプログラムが簡単,確実に製作できるようなロボットの登場が嘱望されてきた.図は汎用のXY直行型のロボットに加熱装置などのはんだユニットを付加した機構で,外付けのティーチング装置で必要なデータを入力できる.ワーク部は固定,ヘッド部が移動する形式.補間機能(2軸補間,円弧補間)を有し,動作が滑らかなのが特徴.
図5は,数値制御自動旋盤(NC旋盤)への棒材自動供給機構.これは,NC旋盤の昼夜無人運転を可能にするために欠かせない機構.この機構は,以下のような機構部から構成されている.加工前の素材を留めておくストック棚.素材の中から1本を取り出す機構.取り出した棒材をNC旋盤のスピンドル内に送り込む機構.連続加工を終えた最後端(残材)の持ち帰り排出を行う機構.NC旋盤に棒材を供給する機構では,従来フィンガーチャックと呼ばれる保持機構で棒材の先端を掴んで排出していた.本機構では,送り矢のフィンガ部に真空パッドを組み込み,棒材の支持を図っている.
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図6は,あらゆる構造物の壁面や天井に真空吸着し,その表面に沿って自走しながらブラストクリーニングし,出てくる塵埃などを集塵する機構.駆動はリモコン方式にて行う.真空装置,ブラスト用の装置は,地上側に置かれており,図に示したように,ルーツブロアにてブラスト材,塵埃などを吸引すると同時に,本体を壁に吸着させる機能を有する.
吸引されたブラスト材(サンド)は,ブラストタンクに集められ再使用される.吹き付けには,サンド,ウォータの2種類が選択できる.サンドブラストは,主に処理面のハツリ,塗装下地の仕上げなどに,ウォータジェットはスピーディなハツリ作業などに適用される.この際のハツリした汚れ,排出材,高圧水,高圧吸盤が吸い込む高速気流の作用により,吸盤が設置され,それを挟むようにして車輪が取り付けられている.したがって,吸盤は壁に直接接触することなく,壁面を移動するのが特徴.
