機械設計における疲労強度設計のポイント
出典: SGK_Wiki
1疲れ破壊に及ぼす切欠き底の応力分布
実際の部材は、切り欠き(断面が変化する部分)を有している.例えば,切り欠きのある棒を引
き張りした場合には,切り欠き付近の応力分布は一様とはならず,変化に冨むものとなる,切り欠き底には,切り欠きのない場合に比較してはるかに大きい応カが発生する(応カ集中).部材の
疲労破壊は,ある点に小さな亀裂が発生し,それが応力の繰り返しによって拡大して起こる.こ
の微少亀裂が発生する個所は,応力が集中している箇所である.従って,部材の疲れ強度は,
その形状と合わせ考えて意味がある.形状を無視して疲れ強さを云々できない.
切欠き底の表面をよく研磨した後、適切な腐食液で腐食して,顕微鏡で観察すると、図1に示
したような入り組んだ境界が見られる。

この囲まれた一つ一つの部分は一個の単結晶であり、結
晶粒と呼ばれる。
一個の結晶粒の内部では、原子は規則正しく並んでいるものの、他の結晶粒
では、その方向が異なるために、境界が見られるようになる。
加えて、一般的な金属は、多結晶
体であるので、この境界も更に、複雑に入り組んだ形となる。
境界は、結品粒界と呼ばれる。
このような状態の所へ外力が加わると切欠き底には大きな応カが生じる。
その応力に対して、
切欠き底に存在する結晶粒は互いの結合力で引き離されまいと踏ん張っている。
その際、踏ん
張っている結晶粒の大きさや数(結果的には、結晶粒のなす層の厚さ)が問題となる。
この結晶粒
間の踏ん張りカ(結合カ)が、切欠き底に生じる応力に抗し切れなくなると結晶粒内に亀裂が発
生する。
亀裂が発生すると、それは内部へ向かって進展していく。
切欠きの形状によっては、状
況によっては、途中で進展しなくなってしまうこともある。
図2は、切欠きの谷底の曲率半径ρ(あるいは応カ集中係数α)と疲れ強さの関係を示したも
ので、2本の曲線で示されている。

一方の曲線が疲れ亀裂発生限度を、もう一方の曲線は亀裂
の進展限界を示す。
この2曲線は、ある曲率半径(あるいは応力集中係数)を境に分岐する。
AB
で結ばれた点の応カは亀裂進展限界よりも、亀裂発生限界の方が大きいので、亀裂が発生す
れば、破壊する。
BC(亀裂発生強さ)より大きくてBC`(亀裂強さ)より小さい応力を加えても、破壊
しないが、切欠き底には必ず亀裂が発生する(停留亀裂)。
BC`より少し大きい応カを加えれば、
必ず破壊する。
この分岐点が、何故生じるのかに疲れ破壊に対する重要な視点が隠されている。
この現象について、考える場合には、表面からどの程度の距離までの結品粒が踏ん張っている
のかを検討する必要がある。
まず始めに、切欠き底に巨視的な降伏が生じるためには、図3に示したように切欠き底から応
カ勾配が最大となる方向に少し離れた点B`の応力が降伏点に達することが必要と考える。
B'ま
での距離をε。
`とする。
切欠き底に疲れ亀裂が発生する場合も、同様に、切欠き底から応カ勾
配が最大となる方向に少し離れた点B(距離をε。
)の応力が疲れ限度に達することが必要である。
従って、ある荷重によって生じる応カ分布が、曲線Iで示される切欠きでは、疲れ破壊が起きる前
に切欠き底付近の巨視的な小範囲が降伏する。
一度降伏が起これば、その部分の応力分布は
変化するけれども、応力の繰り返しによって、幾分弾性を回復し、応カの振動部分は再び降伏
前の値に近づく。
もしこのような変化の途中、応カ分布の曲線がB点を通るとしても、それが長い
間繰り返されなければ、破壊は起こらない。
きり欠き底には降伏は起きるが亀裂は発生せず、破
壊は起こらない。
このような場合は、降伏を起こす荷重以上の荷重を加えてはじめて切欠き底に
疲れ亀裂が発生する。
Ⅱで示すような分布を持つ切欠きでは、降伏域は現れず、荷重を繰り返
すうちに疲れ亀裂が発生する。
Iの応カ分布を持っ切欠きは分岐点より大きい形状係数の切欠きに該当する。
Ⅱの応カ分柵
を持つ場合は、分岐点より小さい形状係数を持つ切欠きの場合に該当する。
曲率半径の大きい切欠きに対してはαが設計の基準になる。
曲率半径の小さい切欠きの場合はβを用いなければならない。
Ⅱの応力分布について、Neuber,E.Peters㎝とらが、種々の考えを提案している。
しかし、結果的には同じ結果に達するので、設言十ではE.Peters㎝らの考えに従って切欠き係数βを求め
る。
2.1Neuberによる考え:
切欠き半径が結晶粒子の大きさ程度に小さくなると、等方.等質であるという仮定は成り立た
ない。
Neuberは図4に示したように、切り欠き底に、結晶粒子程度の幅に等しい微小部分を考
え、この部分では応力が」様に分布していると仮定したモデルを用いて、切欠き効果を考察した。
このような場合の形状係数α'は、従来の弾性学から求まる形状係数をαとすると種々のrの値に対して㌔ポとρとの関係を示すと図5のようになる。
これは実験から求めた切欠き
感度係数の図6と全く同じ傾向を示している。
二れに基いて、KuhnとHardrathはrと材料の引き張り強さとの関係を検討し、図7のような関係
を示した。
これより、切欠き半径ρを与えると、切欠き感度係数が求められることになる。
2.2E.Petersonによる考え
E.Peters㎝も結晶粒の大きさに注目し、たとえ、形状が幾何学的に相似でも、組織は幾何学
的に相似とはならず、応力集中の部分に含まれる粒子の数の大小が疲れ強さに影響を与えると
考え、実験を繰りかえした。
その結果、図8に示したようにという無次元の指数を横軸にとり、縦軸に切り欠き感度係数をとった場合、応カ勾配が急になり
(切り欠き半径が小さい)、粒子の直径が大きくなると、切欠き感度係数は減少することを見出した。
このことは、Neuberによる考えのものと同じである。
2.3E.PetersonとNeuberによる考えの統合化E.Petersonは応力勾配λを次のように定義した
と近似的におけるとする。
更に、ブの替わり新しい材料に関わる定数r*を導入し、
